韓国の障害者運動


このページでは韓国の障害者運動や障害学の傾向をかんたんに紹介していきます。

韓国の社会運動

韓国では熱のこもった民主化運動がすすめられてきました。「運動圏」とよばれる運動家・学生たちは「民衆歌謡」とよばれる歌をうたいながら「闘争」をしてきたわけです。韓国の社会運動、社会問題の傾向については『当代批評』(年4回発行)、『アウトサイダー』(月刊)などの雑誌が参考になります。労働の声進歩ネットワークなどのサイトをみても その ふんいきは つたわってくるでしょう。

韓国の障害者運動をつたえる本・雑誌

- 雑誌 『ともに あゆむ』 障碍友権益問題研究所が1988年から発行している月刊誌。
障害者問題についての情報誌といったところ。創刊された1988年は韓国で障害者運動がさかんになった時期ともいわれる。「チャンエウ(障碍友)」という表現を統一的に使用しており、「チャンエウ」という表現を一部に定着させた。「チャンエウ」という表現は「障害者のお友だち」というニュアンスが感じられるため、さまざまな障害者団体・個人から批判されている。
- 雑誌 『障害と社会』 2003年に創刊。障害者職業安定研究院が年に4回発行。
創刊号は脱施設についての論争、2号は「障害者当事者主義」について特集。論文の要約を公開している。
- 雑誌 『ボイス』 2001年に創刊。韓国DPI(韓国障害者連盟)が1年に4冊発行している。全文を公開。
- 雑誌 『共感』 1999年に創刊。障害女性共感が発行している。
- 本 『わたしは「わるい」障害者でありたい』 キム・チャンヨプ ほか、図書出版サミン、2002年。
『当代批評』の2001年春号の特集だった「韓国社会の偏見と差別の構造1-身体障害」と夏号の特集「韓国社会の偏見と差別の構造2-障害女性の登場、その政治的意味」に掲載された論文を本にしたもの。本の題になった「わたしは『わるい』障害者でありたい」はキム・ヒョンスさんによるもの。障害学については「障害研究」という表現で英語圏の障害学が紹介されている。
- 本 『これ以上死ぬわけにはいかない-障害者移動権連帯、闘争の記録』 社会写真集団 PhotoPeople + チェ・ビョンソン 文・写真/障害者移動権連帯 編、パク・ジョンチョル出版社、2004年。
写真集なので、韓国の障害者運動の熱気がつたわってくる。インタビューや移動権連帯の2001年〜2003年までの活動歴の年表も。 英語を解するひとへの「配慮」なのか英語訳がついている。
- 学位論文 「韓国 障害者運動の 特殊教育学的 考察」 クァク・ジョンナン、韓国テグ大学大学院 特殊教育学科 修士論文、2003年。
キム・ビョンハ研究室の同期生の論文。よみたい かたはabe.yasusi@gmail.comにご連絡ください。アレアハングルのファイル、PDFファイル、印刷して製本したものを提供できます。

障害者団体のサイト

参考になるサイト

用語の解説

- 障害者
韓国では一般的に「しょうがいしゃ(障害者)」を「チャンエイン(障碍人)」とハングル表記している。「チャンエジャ(障碍者)」という表現は不適切とされる。ごくたまに、「チャンヘジャ(障害者)」という表現をみかける。これは日本語の影響によるもの。 ここでは、「チャンエ」「チャンエイン」という表現を「障害」「障害者」と翻訳している。(わたし個人は「しょうがい者」と表記することもある。いってみれば「きょうだい」をひらがなで表記するのと にている。ちなみに「障害」という表記は敗戦後の漢字制限によるもの。それまでは障礙や障碍という字だった。台湾では「障礙」がつかわれている。)
- 障害女性(チャンエ ヨソン)
韓国の女性障害者たちは「女性障害者」(つまり「女性障碍人」)ではなく「障害女性」という表現をつかっている。これには「障害者のなかの女性」という「おまけのような存在」ではなく、「われわれはまず女性なのだ」という意識によるものだそうだ。障害女性共感のひとも講演で そんな はなしをしていた。

あべ・やすし (ABE Yasusi) | このページの朝鮮語版

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